「すぐに車取ってくるからここから動いちゃだめだよ。」私は返事もせず目も合わせられなかった。
「やっぱり一緒に行こう。それ(カーディガン)着られる?」私がカーディガンを着ると、彼は私の手を引いて道路に出た。
「歩ける?」私が頷くと、彼は私の肩を抱いて一緒に歩いた。
私はバッグを両手で抱えて胸元を隠し、自分の足だけを見ながら歩いた。
「誰も見てないから気にするな。」私は見たことのない車の前に連れて来られた。
いかにも四駆っぽい大きな車だ。
彼は助手席のドアを開けると「ここに足を乗せてここに掴まって」と言いながら私を助手席に乗せ、それから運転席側に回って車に乗った。
「バッグ置いて。」私が無視していると彼は黙って私のバッグを取り上げ、しばらくの間、はだけた胸元を見つめていた。
そして、自分が着ていたジャケットを脱いで私の体に掛けた。
「はるかちゃん、ひとつだけ教えて。」「………。」「誰にやられた?」「………。」「知らない人?」私は首を横に振った。
「…彼氏?」「………。」「わかった。ちょっと待ってて。」彼は車を降りて少し離れた場所まで歩いて行き、誰かに電話をしている。
しばらくして電話を切ると、またどこかに電話しているようだった。そして切ってまたどこかに電話…というのを何度も繰り返している。
しばらくして彼が戻ってきた。
「よし、行くよ。」え…行くってどこに?
彼が何を考えているのか全くわからず不安はあったが、それを聞くのもまた不安だった。
『とにかく彼に任せる以外ない』
自分で自分のことが何も出来ない状態だった。
-69へ続く-
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今日はホントに珍しく疲れていますが、そういうときに自分を追い込むのが大好きなので意地でも頑張っちゃいますけどね(笑)
私、○○○ちゃんは苦手です。
彼女が良い悪いじゃなくて、見ているとなんだか痛々しくてかわいそうになります。
それはそれとして、良い女のコに出会えればいいですね。